やあ。「全人類が(その無慈悲に)涙した! オススメ最強神(さいきょうしん)ゲー4選」へようこそ。いや、ブラウザバックの前にちょっと待っていただきたい。
ゲームを遊ぶ楽しみの一つとして、現実には不可能な創造と破壊のカタルシスを得ることがある。それならば、創造と破壊の究極たる神のゲームこそが神ゲーになりうると言えるのではないだろうか?
そう、強大で愉快な神たちが主人公や主要キャラクターとして活躍するゲームが面白くない訳がない。天国から地獄まで、オススメの神ゲーをご案内しますよ。
- 存在自体が奇跡の絢爛シューティング『新・光神話パルテナの鏡』
- オリュンポス神とゆく冥界脱出ローグライク『Hades』
- これぞ日本のアクションアドベンチャー『大神』
- 神と人と絶望の叙事詩『ロマンシング サガ -ミンストレルソング-』
- ゲームの中に在る神のすがた
存在自体が奇跡の絢爛シューティング『新・光神話パルテナの鏡』
「空と大地のシューティング」と銘打たれた本作の主人公は、女神パルテナの親衛隊長の天使ピット。飛べない天使であるピットは、女神の奇跡により五分間だけ空を飛ぶことができる。空中レールシューターで敵地に乗り込んだあと、地上ステージを突破するという二段構えのゲームプレイは、ライドアトラクション顔負けの豪華さだ。
本作はスマブラシリーズのディレクターとして多忙を極める桜井政博氏が、その隙を見て作った現状最新のオリジナル作品(続編ではあるもののほぼ別物)で、その存在自体もまた奇跡と言える。
3DSのタッチペンを片手に持ち、もう片手は本体に添えてスティックを操作するという独特の操作系も特徴。この操作のために専用のスタンドまで付属しており、そのため他ハードへの移植は難しいと思われる。だがこの大傑作、専用コントローラーを作ってでも移植してほしいと思うのは自分だけではないだろう。
何より見逃せないのがそのストーリー。「アクション忙しくても耳は空いていますよね」と言わんばかりの密度で繰り広げられるフルボイスの掛け合い。二転三転する展開に、音楽・ゲームプレイ・システムまでもを巻き込んだ演出も加わって、ゲームシナリオとしては個人的オールタイムベストに挙げたい。桜井氏のゲーム体験への洞察の深さと、サプライズ好きがスマブラ以上に強く感じられる。
▼ゲーム情報
- プラットフォーム:3DS
- リリース日:2012/3/22
オリュンポス神とゆく冥界脱出ローグライク『Hades』
ギリシア神話ではあまり光が当たらないらしい冥王ハデスの、しかも息子を主人公とした本作。主人公からすると親戚にあたる名だたるオリュンポスの神々が、寄ってたかって彼の冥界脱出(=家出)を手助けしてくれるローグライクアクションだ。
屋敷を出て亡者の溢れる冥界を進んでいけば、しばしば神々の幻影に出会って能力を授かることができる。天空神ゼウスなら攻撃系が多く、伝令神ヘルメスなら移動系に強く、酒の神ディオニュソスなら回復系をカバーする……というような個性ある能力の中から選び取り、取捨選択し、使いこなして危険な家出を戦い抜くのである。
重厚な設定に反して、会話のノリは軽くユーモラスだ。「死ぬとスタート地点に戻されてしまう」システムを採用している本作だが、死ぬたびにストーリーが進行し、何度も死んで成長を積み重ねることを前提としているため、マゾっ気の強いこのジャンルの中では非常に取っつきやすい。ローグライクアクションの最初の一本としても最適だろう。
それでも難しい!という場合もご安心を。「ゴッドモード」という簡単に強くなれるモードも搭載されている。この説明がまた素晴らしく、「自身が神であることを思い出せば、強くなれる」というのである。そんな気の持ちよう的な感じなのかよ。
▼ゲーム情報
これぞ日本のアクションアドベンチャー『大神』
本作の主人公は日本神話の最高神、アマテラス(天照大神)である。ただし、何故かわんこ(オオカミ)の姿をしている。愛らしい姿だが、画面に一筆を描いて発動する「筆しらべ」という力を持ち、枯れ木に花を咲かせ、万物を断ち切る力を振るうさまは紛れもない神である。
アクションRPGである本作の開発は、アクションゲームに定評のあるプラチナゲームズの前身であるクローバースタジオ。筆しらべを交えた爽快なバトルアクションも魅力のひとつだ。難易度も控えめで、ゲームの腕に関わらず気持ち良く遊べるだろう。シリーズとしてはこれと外伝一本しか出ていないが、何度もリマスターされて広く長く愛されている作品である。
本作は、鮮やかな日本画風のグラフィックから想像されるような、純和風のシリアスな作品……では全くない。「笑いあり涙あり」というベタな形容が似合う本作には、相棒のイッスンに代表されるようなコミカルなキャラや場面が非常に多い。日本神話の世界をベースにしつつも、そこからの逸脱やごった混ぜ感もまた魅力で、こういうところも八百万の神を崇めてきた日本らしさに溢れていると言えるかもしれない。
▼ゲーム情報
神と人と絶望の叙事詩『ロマンシング サガ -ミンストレルソング-』
人類泣かせ度ではトップクラスの神殺しゲー。「神は人をつくり、人は物語をつくる」のキャッチコピーを掲げたフリーシナリオRPGだ。そういうわけで本作は神ゲーというより、むしろ人ゲーと呼ぶべきかもしれない。
本作のバトル難易度は高く、時に理不尽なほどである。最大HPを軽く超えるダメージを与えられて倒れれば、吹けば飛ぶような人間のちっぽけさを思い知らされる。一見して自由に見えるフリーシナリオというシステムの中で、神と運命に翻弄されて苦しんだ主人公とプレイヤーは、ついには神に絶望的な戦いを挑むことになるのである。
バトルにおいてもストーリーにおいても、理不尽と絶望を乗り越えて、それが希望に転じる瞬間が本作の何よりの魅力だ。神の力が強大だからこそ、それに抗う人の姿が輝いて見えるのである。
本作、というよりロマサガシリーズの特徴として、既存の神話から名前を借用することなく、完全オリジナルの神話と神々による世界が練り上げられていることが挙げられる。シリーズディレクターの河津秋敏氏が親しみを込めて「神」と呼ばれるのは、ネットのスラングの「すごい人」の意ではなく、そのまま「世界の創造主」という意味なのだ。
▼ゲーム情報
ゲームの中に在る神のすがた
いかがでしたか? 人の子よ。
ゲームというのは独自のルールと秩序を持った一つのシステムだ。それはプログラムの神が統べる一つの世界と言えるだろう。では、その中にキャラクターとして存在する神とはいかなる存在なのだろうか。
ゲームの神は、時に世界とプレイヤーの間にいる。パルテナ様はどんな状況でもお構いなしに喋りかけてくるし、アマテラスは画面の上から筆を落とすことができる。ゲームの世界と、それに介入するプレイヤーとを取り持ってくれる橋渡しとして、これほど適した存在は他にないだろう。
今回挙げたゲームでは、神は人知を超えた力を持つだけでなく、非常にチャーミングな存在として描かれている。「これってゲームですから、楽しくやりましょう」と、我々にウィンクしてくれているようである。
ここに挙げた以外にも神ゲーは古今東西ほんとうに沢山あるので、ぜひ八百万の神ゲーで神の力を手に入れてみてくださいね! 地獄でまた会おう!
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