ブルー編、クリアしましたか? クリアして「信じられん…」と思ってここに来た人もいるかもしれませんが、本当にな。一体何なんだあれは。
まだクリアしてない人は、是非ともあの衝撃を味わってからまた来てください。
※以下、当然ですがブルー編ラストまでのネタバレがあります。
ブルー編の概要
まずはおさらい。
マジックキングダムで魔術の課程を修めたブルー。彼には双子の兄弟ルージュが居るが、完璧な術士となれるのは双子のうちどちらか一人だけだという。ブルーはルージュを殺して最強の術士となるべく、各地のリージョンを巡って術の資質を集める旅に出る。
ルージュに勝つことを厳命されたブルーは資質のためなら手段を選ばないし、仲間を仲間とも思わない。三つの資質を集めたところで、いよいよルージュとの対決となる。
互いに極めた術をぶつけあう二人に友情が芽生えたりすることは特になく、そのまま本当に殺してしまう。もしくは、殺されてしまう。
どちらの場合でも負けた方が勝った方に吸収され、本来あり得ない「相反する術を全部使える最強の術士」が誕生する。これこそがキングダムの目的だったのだ。力だけでなく人格も混ざったような状態になり、ここで二人は自分たちが元は一人の人間だったということに気付く。
一人の人間を二人に分離して殺し合わせる。なぜキングダムはそこまでするのか?
実はキングダムの地下はやばすぎる魔物が闊歩する「地獄」なるリージョンと繋がっており、その脅威に対抗するため究極の術士が必要だったのだ!
そして今まさに地獄を抑えられなくなったキングダムは、そこから溢れる魔物によって盛大に崩壊してしまっていた。
自分と同じく、術士となるためだけに培養される子供たちを見たブルー(ルージュ)は彼らを守るために地獄へと乗り込み、地獄の君主と対峙する。
ここまではいい。
そして迎えた最終決戦。地獄の君主の体力を一定値まで削ると画面がゆっくりと停止し、THE ENDの文字が表示される。
以上でブルー編はクリアとなります。終わりです。お疲れさまでした!
これ、納得できます? いや無理だろう。勝ったのか負けたのかすら分からないじゃないか。
『ごんぎつね』で例えると最後に銃声が響いたところで終わるみたいなもんである。結局誰だったんだよ……!
我々プレイヤーは行き場を失った達成感をどうすればいいのか。ここまで頑張ってくれたブルー(ルージュ)に報いるためにも、モヤモヤしたまま終わるのは良くない。何とか納得できる結末を探れないだろうか。
なぜ(結末を)教えてくれなかったのか?
まず「これは一体どういう意図の演出なのか?」というところからスタートしてみることにする。
「ルージュ戦が実質ラストバトルで、その後はおまけ」という開発者の証言があるらしい。そのまま受け取るのならこういうことである。
エピローグが無いのではなく、地獄の君主戦は既にエピローグなのだから任意のタイミングでTHE ENDしても問題ないということだろうか。本当か……?
「プレイヤーの想像に任せたい」という意図もあるらしいのだが……それにしたってここまでぶつ切りだと、逆に何をどう想像していいのか難しい。
「インパクトを与える」という点ではこれ以上ないインパクトを残すエンドだから、そういう効果を狙ったのかもしれない。が、それにしてはいささか乱暴なやり方だ。
ソースに当たれてないので情報が錯綜している可能性もあるが、どれも説得力に乏しいというか煙に巻かれているような印象を受ける。あえてスッと腑に落ちないようにしているのかと邪推してしまう。
そこまで言うなら結末を考えてみる
やはり今一つ納得はいかないが、ならばあのTHE ENDの先にあり得そうな具体的な結末を何パターンか考えてみることにしよう。
ポイントはまず勝ったのか負けたのか。そして勝った場合には、因縁深いキングダムの運命をブルー(ルージュ)自身が握ることになるということ。最後に過酷な運命を辿った彼らのその後の身の振り方だろうか。
以下、リマスター版ヒューズ編の公式ifエンドも含めているので、自分で見たいという人は注意。
①勝てなかった。地獄から魔物が溢れ出し、キングダムは滅びた。
ひどい話だな。自分たちだけで解決しようとしたキングダムの怠慢であり、最強の術士なんて幻想で、それに巻き込まれたブルーとルージュにとってはただの悲劇。なんならリージョン界ごと滅びそうな勢いだ。魔術なんて最初から無ければよかったのに。
負けエンドの可能性を提示するなら、ロマサガ3みたいに「実際負けたときにバッドエンドが流れる」という形で処理されるような気もするけど。
②刺し違えた。ブルー(ルージュ)は犠牲になったのだ。
これまたひどい話だ。倒せたものの、相手が自爆したとかで道連れになってしまった。ブルーとルージュは結局いいように利用されてしまって可哀相だし、キングダムはいずれまた同じことを繰り返すのだろう。
また、君主のHPを減らして地獄の力が弱ったところで、外から地獄ごと封印されてしまったという説もあるようだ。この場合、あの演出はぶつ切りエンドなどではなく「正しく」描写されていたということになり、説得力はある。でもあんまりである。
③勝って帰還し、キングダムを再興した。
平和的結末。リマスター版のヒューズ編ブルールートがこれとなる。ブルー(ルージュ)はキングダムの統率者となり、後進を指導しながら非人道的な方法に頼らずに地獄を抑え込む方法を模索する。
ブルーは根っから性格が悪かったのではなく、責任感の強さゆえに冷酷にならざるを得なかったみたいな解釈のようだ。
良いんだけど、物騒すぎる使命に性格の悪い主人公、という邪道ど真ん中を行くブルー編の結末としては丸すぎるような気もする。
④勝って帰還し、新たな旅に出た。
平和的結末。ヒューズ編ルージュルートがこれ。地獄は未だ存在するものの、対抗策を探すという名目で諸国漫遊を続け、新しい人生を謳歌しているようだ。
二つに分かれて争わされていた心が一つになることで、本当の自分の人生を取り戻すという救済エンド。良かったなぁ。
③と違いが出るのが興味深い。元は一人だったとはいえ、一応吸収した方がイニシアチブを握っているのか? ルージュの物腰が柔らかいのは人が良いというか単に若干お気楽な性質だったためなんだろうか。
⑤勝って帰還し、分裂した。
意図せず吸収合体してしまった二人だが、それは本意ではなかったかもしれない。帰還後、キングダム秘伝の魔術的処置で再び分離した二人は、永遠のライバルとしてそれぞれの道を歩きだす! というのはどうでしょう。
いやむしろ命術の分、もう一人くらい増えるかもわからん。ブルー、ルージュ、そしてイエロー。誰?
リマスター版だと周回で分裂合体を繰り返して最強になることができるので、これ全くのデタラメという訳でも……デタラメですね……。
⑥地獄ごと消し飛ばして、キングダムを去った。
最強エンド。もしも地獄の脅威ごと消せてたら残る意味も義理もないだろうから、まぁ去るだろう。とはいえ、そこまで強すぎる力を持て余した最強の術士の行く末はあまり明るくなさそうだ。
自分の時間を止めて引きこもってた時の君や、お菓子で迷路作って遊んでた麒麟以上の孤独を味わうことになるかもしれないし、どっかの上級妖魔みたいに案外楽しくやるのかもしれない。
⑦勝って新たな地獄の君主となった。
魔王エンド。地獄の力を抑えるのが難しいなら、手中に収めてしまうのが最適解ですよね。いやあ、キングダムはとんでもないものを生み出してしまいました。新しい君主は、命ある限りキングダムを睨み続けることでしょう。
無差別な侵略行為こそしないだろうが、また妙なこと始めたらどうなるか分かってんだろうなと足元から永遠にプレッシャーをかけられ続ける悪夢。自分たちで利用するために作り出した人間に実質支配される屈辱。皮肉ですね!
⑧勝って帰還し、自らキングダムを完全に滅ぼした。
報復エンド。さすがにここまで行くと狂暴すぎる気もするが、キングダムがブルー(ルージュ)にした仕打ちを考えると、これですっきりというのも無しではない。
罪のない子供たちだけを連れて、どこかのリージョンに新たな魔術の国を築くというのもロマンがありますね。
まだまだあるとは思うが、思い付いたのはここまで。なるほど(脳内)マルチエンドだったんですね。
正しい結末って何なのか
しかしこうしてみると、全体通して倫理観の怪しい話なだけあって、確かに色々な着地点が考えられる。そしてそれだけに、その着地に納得いくかどうかは個々人の価値観に依るところが大きいのではないだろうか。だから結末を描かなかった、いや描けなかったのだと考えるのはどうだろう。
地獄の脅威に対抗するためとはいえ、非道な行いをしたキングダムは報いを受けるべきか? 洗脳されていたとはいえ、自分の分身を躊躇なく手にかけたブルー(ルージュ)は幸せになるべきか? 地獄は再び封印するべきか、破壊するべきか、共存していくべきなのか……
隠された一つの正解があるわけではなく、結末がどうあるべきかを自分の価値観に照らし合わせれば、それぞれに答えは出てくるのかもしれない。
ということで少しはすっきりできたでしょうか。すっきりしなかった人も君だけの最強のブルー編エンディングを考えてみよう!
ブルーであり、ルージュであり、どちらでもない全ての人が、納得のいく旅の終わりを見つけられますように。
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他の主人公はまともな話かと思った?クーン編も結構な曲者なんだなこれが。
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