束子ダイナミック

変なゲームと優しい物語が好きなブログ

異次元に飛び込む新概念3Dパズル!『Portal』レビュー

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 名作と名高いものを遊んでみてやっぱり名作だったな! と確認することを年に一回くらいやっているけど、これもそうでした。

 初出が2007年で今更レビューするにはあまりにも有名なタイトルなのだけど、とはいえ全人類が遊んでるわけでもなかろうということで。 

  • プラットフォーム:Steam / Xbox360など
  • 価格:600円(Steam)
  • クリアまでの時間:4~5時間くらい

ポータルという新しい概念を使ったパズル

 Portalはざっくり言うと、小部屋の仕掛けを解きながら出口を目指す、一人称視点の3Dパズルゲームだ。「ポータルガン」というアイテムとそれが引き起こす現象を利用して部屋をクリアしていく。どういう現象かは実際に見て驚いてほしいので言わないでおきます。

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 最初に見たときは「こんなことが可能なのか!?」と驚いてしまったけど、3Dゲームの仕組みを考えればもちろん可能だろう。一度理解してしまえば、逆にどうして他に誰も思いつかなかったんだろうとさえ思う。こういうのをナイスアイデアと呼びたい。

 アクション映画のように映像化したら面白いのでは? とも思ったけど、この現象を映像だけで把握するのは難しいのかもしれない。自分の手であれこれ試し、様々な角度から眺めることで脳がゆっくりと理解していく感じ。

 現実には不可能な現象をシミュレートして、普段はあり得ない方向に頭を捻り、目眩を起こしそうな感覚で遊ぶ。そんな3Dゲームの原始的な喜びがここにある。なお、このシミュレートであなたのPCは爆発したりしないので安心してください。

 そんな飛び道具を登場させつつも、パズルゲームとしては非常に丁寧な作り。新しい仕掛けは順を追って慣れさせてくれるし、難易度も程々で、後半は手こずることもあったが理不尽さはなかった。

何故こんなことをやらされているんだ?

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 プレイヤーは何かの実験の被験者という立場でパズルを解いていく。だけどこのテストはどうにも不穏だ。プレイヤーをガイドするはずの天の声もよく分からないことを言ってくるし、テスト用の設備にもどこか違和感が……。

 Portalのもうひとつの魅力が、この謎めいた状況がもたらす疑心暗鬼と、逸脱のスリルである。この施設は何のためのものなのか。プレイヤーは何者なのか。テストが終わったら、一体何が待っているのか?

ピシッとまとまった傑作短編パズルゲーム

 パズルとしてもストーリー面でも、気持ちよく踊らされて楽しかったと素直に思えたゲームでした。発明的なアイデアを謎めいたシチュエーションでラッピングして、過不足なくコンパクトにまとめる手腕が実にこなれていて、Valveとかいうゲーム作りのプロ集団の練度の高さに恐れおののく。

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 有名なエンディングテーマ『Still Alive』は感動するというより、思わず笑ってしまうような名曲。やたら耳に残るので、さっきからこの記事を書きながらずっと歌ってる。

 ゲームソングというと商業的にタイアップしたものが多いけど、本来はこうやって世界観や演出の一部となっててほしいものだよね。

 ちなみに『Half-Life 2』というゲームのスピンオフらしいですが、知らなくても特に問題ないと思います。自分もこちらは未プレイ。

 ValveがSteamの元締めだということもあってか、セールでよくジュース一本分くらいのサービス価格で売られており、コスパは最高。この記事書いてる時点でもサマーセールで120円、『Portal 2』とセットでも180円だ。夏の夜のお供にいかがでしょうか。

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